カウンセリングの効果に対するエビデンス(根拠)
~カウンセリングの効果が心配な方へ~
カウンセリングのような心理的支援については、日本では広く一般的に浸透しておらず、
気軽にカウンセリングを受けるという習慣が定着していません。
その原因の一つは、「カウンセリングってなに?」「本当に効果があるの?」「なんか怪しい…」
という疑問や心配をお持ちの方も多いからなのではと感じています。
前回は「カウンセリングの効果と方法」をお伝えしました。
(リンク:「カウンセリングの効果と方法」)
今回は、それでも「ほんとに効果があるの?」「その根拠は?」と心配な方に向けて、
根拠となる研究をお伝えします。
目次
- ○ 1.なぜ、心理支援にエビデンスが必要なのか
- ・日本で、心理カウンセラー(心理支援者)が置かれていた背景
- ○ 2.カウンセリングの効果に関するエビデンス
- ・コンシューマーレポートの報告
- ○ 3.まとめ
1.なぜ、心理支援にエビデンスが必要なのか
こころの世界は目に見えない物のようでありながら、
じつは、常に「科学的な見知(エビデンス)」を元に心理実践を行い、
アップデートされているのです。
日本で、心理カウンセラー(心理支援者)が置かれていた背景
我が国では長年、心理支援者に関する国家資格がなく、大学・大学院で心理を学び、研究を深めて資格を取得された「臨床心理士」がいる一方で、誰でも、資格がなくても“自称心理カウンセラー”がカウンセリングやセラピーをすることができ、カウンセリングに関する信頼性が担保できない状況でした。
(もちろん民間資格でも、例えば「産業カウンセラー協会」のような、信頼性の高い団体や機関が、長年の実績を基に心理支援者の資格養成をされていることや、すばらしい民間資格のカウンセラーが現場で活躍されていることも、誤解のないようにお伝えしておきます。)
しかし2018年から、国民の心の健康の維持増進に貢献する重要な職務を担う存在として「公認心理師」という国家資格を設定したことで、一般的にも心理支援に対する信頼性ができ、他職種との連携や、活動分野の広がりの中で、少しずつ社会的信頼性が醸成されてきているようにも感じます。
公認心理師法の中では、心理に関わるものはその職務と責任を理解し、支援を必要とする方に関わることが必要ということが明記されており、また育成される学びの中では、「人の心は時代と共に変化し、心理学の理論も研究によって常にアップデートしなければ、その援助理論は時代遅れの物となってしまう。心理専門職には、研究によって得られた最新の見知を取り入れながら、常に心理実践のあり方をアップデートしていく姿勢が求められる」といわれています。
つまり、こころを扱う心理学は目に見えない物のようでありながら、常に「科学的な見知(エビデンス)」を元に心理実践を行い、アップデートされる必要があり、常に更新されていることをご理解いただけると、少し安心してカウンセリングや相談に行ってみようかと思われるのではないでしょうか。
2.カウンセリングの効果に関するエビデンス
米国の消費者雑誌コンシューマーレポート(Consumer Report,1995)では、何らかの心理的苦悩や依存症などの問題でメンタルヘルスの専門家にカウンセリングやサイコセラピーを受けた経験を持つ約4,000名からの回答を分析し、多くの人にとってカウンセリングやセラピーが役に立っているという結果を報告しています。
コンシューマーレポートの報告
具体的には、
第1に、治療を受けるために抱えてきた問題の緩和、第2に、他者との関係を持て、仕事が生産的になり、日々のストレスに対処するための能力を改善し、より良く機能できるように支援できた。さらに「人間的成長」と呼べるような物を高められた。との報告がありました。
またセラピーを受けた人は、
自信や自尊心をより強く持つようになり、自分自身をよいよく理解するようになり、
人生をよりたのしむようになった。と報告されています。
<参考>
【参考:カウンセリングの効果に対するエビデンス】
・数多くの実証研究のメタ分析(複数の実証的研究の結果を総合的に分析する統計手法)から、カウンセリングやサイコセラピーには大きな効果量(約80%のクライエントが好転しているという結果)があることが分かっている。
・心理的苦悩(軽度の鬱や不安など)に焦点をあてると、臨床的な状態にあると判定されたクライエントの約60%がカウンセリングやサイコセラピーの終結時に臨床的な状態にないと判定される水準まで改善している
・一方、カウンセリングやサイコセラピーを受けることで悪化する(状態の悪化や不満足など)割合は平均で5%~10%である。
・平均で2回のセッション終了時にクライエントの3分の1が改善を示すかカウンセリングやサイコセラピーを必要としなくなるが、半数のクライエントが臨床的に改善をみせるために必要な回数は平均で10~20回である。
・心理的苦悩の改善効果は、終了後1~2年間は維持される傾向にあるが、より長期的な影響については明確なエビデンスはない。
(参照:COLUMN「カウンセリングやセラピーは効果的か」/産業カウンセリング 養成講座テキスト)
3.まとめ
このように、カウンセリング効果に対するエビデンスはあり、他にも学会誌、論文等で発表されています。
今までご心配だった方、まずは安心して、COCOKARAにお問い合わせください。
しかし、一方でカウンセリングの限界もあり、もちろん万能ではありません。
また、当然のことですがカウンセリングは医療行為ではなく、医学的な診断や処方、投薬などもできないので、他の専門職との連携・協力の中でクライエント支援を行う必要もあります。
カウンセリングオフィスCOCOKARAでは、
国家資格を持ったカウンセラーが、精神科クリニックや、関係機関と連携をとり
心理支援を行っています。安心してご相談ください。