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~~組織と個人の未来のために~~ 「セルフ・キャリアドック」で会社を元気にしませんか?

「セルフ・キャリアドック」って、
何となく耳にしたことはあるけど 組織の役に立つの? どんなことをするの? 
そんな人事担当の方や、経営層の方がいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、「セルフ・キャリアドック」の制度が作られた背景と、
基本的な“プロセス”と“内容”についてお伝えします。

【参考文献】 :「セルフ・キャリアドッグ」導入の方針と展開(厚生労働省)

目次

「セルフ・キャリアドック」とは

「セルフ・キャリアドック」とは、従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的として、定期的なキャリアコンサルティングとキャリア研修などを組み合わせて行う組織的な仕組みのことです。

近年、変化の激しい社会、先の見えない時代と言われますが、このような状況だからこそ、企業には組織の成員の活性化を図る「セルフ・キャリアドック」が必要です。

従業員の活力を引き出し、企業の成長へと繋げるためにセルフ・キャリアドックを活用しましょう

「セルフ・キャリアドック」の制度が作られた背景 ~日本が抱える課題~

 バブル経済が破壊するまでの社会は、年功賃金制と終身雇用の人事制度の中で、従業員の生涯は保証されているようなものでした。またこれは同時に、所属している企業への忠誠と服従を従業員に求めていたとも言えます。物質的豊かさを求めていた時代は、労使の利害が一致しており、従業員もこれを受入れ、企業も経済的発展を遂げてきました。

 しかし、バブル経済崩壊によって、大手企業や金融機関が倒産・破綻するという事態が発生。もはや企業は生涯を保証してもらえる場所ではなくなり、忠誠を誓う必要もなくなりました。並行してICTの発展やグローバル化などの中で、第4次産業革命、VUCA社会というキーワードを聞くことが多くなってきました。まさに近年の日本は、労働観のパラダイム・シフトを迎えているのではないでしょうか。

セルフ・キャリアドックの目的と効果

セルフ・キャリアドックは、それぞれ個別の企業が抱えている「人材育成条の方針」の実現や「直面している課題」の解決を目的としています。

例えば ・若年層の職場定着率向上 ・中堅社員の能力開発
・育児や介護休業者の職場復帰率向上 ・高年齢層社員の割活性化など
その目的は企業ごとに異なりますが、セルフ・キャリアドックと言う「手段」を使って効果を出す事を目指します。

それでは、どのような効果が出るのでしょう。

「個人」への効果
従業員一人ひとりがキャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、計画的な能力開発に取り組むことができる。それにより、仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度とモチベーションの向上につながる。
「組織」への効果
人材の定着や従業員の意識向上が、組織の活性化や生産性向上に寄与する…など

つまり、

『「個」の成長による、「組織」の強化の実現を目指す』

それがセルフ・キャリアドックです。

セルフ・キャリアドックの標準的プロセス

以下のプロセスはあくまでも標準的なものですが、以下の5つの手順を踏んで行われます。

(1)人材育成ビジョン・方針の明確化
(2)セルフ・キャリアドック実施計画の策定
(3)企業内インフラの整備
(4)セルフ・キャリアドックの実施
(5)フォローアップ

(1)人材育成ビジョン・方針の明確化

1 経営者のコミットメント
2 人材育成ビジョン・方針の策定
3 社内への周知

経営者が社内(全従業員)に対して、各社の適切な形で明示・宣言することが求められ、このようなコミットメントは、組織全体としてセルフ・キャリアドックを推進していく前提として重要となります。また、企業の経営理念を実現するために、従業員に期待する人材像とそのための人材育成方針を明らかにするために「人材育成ビジョン・方針」を策定します。このとき、経営理念やあるべき人材像とのギャップから課題を明確にして、あるべき人材像の再設定や、企業の求める人材像に向けた人材育成方針の明確化を行います。その上で策定した人材育成ビジョン・方針を、各社の適切な形・方法により、全ての従業員に対して提示します。これは、導入時の一時的な周知に止まらず、セルフ・キャリアドックの各プロセスを通じ、各従業員に繰り返し浸透を図ることが望ましいものです。

(2)セルフ・キャリアドック実施計画の策定

1 実施計画の策定
2 必要なツールの整備
3 プロセスの整備

人材育成ビジョン・方針に基づいて、企業としての具体的な実施計画を策定します。実施計画に盛り込む項目と一般的な実施内容は、キャリア研修やキャリアコンサルティング面談などがあります。必要なツールの整備とは、例えば、キャリアコンサルティング面談で使用する「面談(記録準備)シート」や「面談(記録準備)シート」「全体報告書」などの準備です。キャリアコンサルティング面談により把握された組織的・全体的な課題の傾向や、本人同意に基づき企業へ伝えるべき事項については原則として報告対象となります。また、「アンケート」や、「進捗管理表」により、策定した実施計画の各プロセス(目標設定、実行、結果の把握、見直し)を着実に実施出来るよう進捗状況を管理します。

(3)企業内インフラの整備

1 責任者等の決定
2 社内規定の整備
3 キャリアコンサルタントの育成・確保
4 情報共有化のルール
5 社内の意識醸成

セルフ・キャリアドックを推進していくために、社内における責任者を定め、セルフ・キャリアドックに関わるキャリアコンサルタントを統括するという位置づけと同時に、人材育成に関して社内に影響力を有するので、人事に限らず幅広いポストの中から適任者を選定することが有効です。そして、従業員に対してセルフ・キャリアドック実施にむけた企業としてのビジョン、方針、実施内容などの規定を就業規則や社内通達、または口頭や掲示など、組織の状況に柔軟に合わせた方法で、方針や具体的な活動内容などを明示します。

セルフ・キャリアドックの中核的な取組みは、対象従業員に対する「キャリア研修」と「個別のキャリアコンサルティング面談」、及びそれらの「結果のフォローアップ」であり、これを担うキャリアコンサルタントの育成・確保は必要不可欠の事項となります。
そして、キャリアコンサルタントには、大きく、①社内キャリアコンサルタント(資格を保有する従業員)、②社外キャリアコンサルタントの2種類があります。

「情報共有化」についても、キャリアコンサルティング面談により得られた情報を、人事部門及び関連部門(産業医等)と共有化するルールを整備する必要があります。単に共有化するだけでなく、その後、教育訓練・人事管理諸制度にどのように反映するのかなどの方法も想定しあらかじめ検討、対応の実践することが望ましいといえます。

そして、セルフ・キャリアドックを企業に定着するために、企業内におけるインフラの整備と併せ、キャリア自律とその支援に関する組織風土の構築や組織内各層の従業員に対するキャリア自律意識の啓発をすることにより、セルフ・キャリアドックの意義について理解を促し、円滑な導入に向けた社内(管理職の理解、対象従業員の理解)の「意識の醸成」を図ることが重要です。

(4)セルフ・キャリアドックの実施

1 対象従業員向けセミナー(説明会)の実施
2 キャリア研修
3 キャリアコンサルティング面談を通した支援の実施
4 振り返り

キャリア研修・キャリアコンサルティング面談の実施に先立ち、対象従業員等に向けて、セルフ・キャリアドックの趣旨・目的、スケジュール、研修や具体的面談内容、情報の取扱い(キャリアコンサルタントの守秘義務を含む)等を事前に説明し、了解を得ます。このセミナー(説明会)は、職場の実情に応じて、階層別研修、職種別研修、ライフプラン研修等と合わせて実施することも可能。その場合には、組織の視点から見た能力開発等と、個人の視点から見たセルフ・キャリアドックの目的が異なることを丁寧に説明することが必要です。

キャリア研修は、面談を担当するキャリアコンサルタントが説明会の講師を担うことにより、対象従業員とキャリアコンサルタントの「顔合わせ」の場とすることが有効で、その後のフォローアップについても、信頼関係を構築した同じキャリアコンサルタント行うことが、セルフ・キャリアドックを効果的に展開するために重要です。

個別のキャリアコンサルティング面談における限られた時間のみでは、自身のキャリアの棚卸やキャリアビジョンや目標、アクションプランの作成などを行うことは難しいので、集合形式の研修により、これらを実施する場を設定することが効果的です。また研修を集合形式で実施することは、他の対象従業員からの学びの機会を得て、相互啓発を通した変化や気づきを促すことも期待できます。

キャリアコンサルティング面談の基本的な内容やプロセスは以下のようなものです。
 1.守秘義務に関する約束 ⇒ 2.キャリアコンサルティング面談の目的の共有 ⇒ 3.自己理解 ⇒ 4.仕事理解 ⇒ 5.意見・要望事項等の聴取 ⇒ 6.キャリアビジョンの策定 ⇒ 7.キャリア形成上の課題とその対策の明確化 ⇒ 8.面談後のフォロー

振り返りは、「個別のキャリアコンサルティング面談の効果」と「全体の効果」の把握を行います。この取組がどのような変化をもたらしたかなどの効果を調べるため、研修の実施直後と一定期間(概ね3か月以上)後にアンケート等を実施します。これは、以後セルフ・キャリアドックをどのように進めていくか(見直しを含む)を検討する際に必要な資料となります。

(5)フォローアップ

1 セルフ・キャリアドックの結果の報告
2 個々の対象従業員に係るフォローアップ
3 組織的な改善措置の実施
4 セルフ・キャリアドックの継続的改善

結果の報告については、
キャリアコンサルタントは、対象従業員全体の面談内容に基づく全体報告書を作成し、人事部門(企業)に報告します。全体報告書には、個別の従業員が特定されないよう配慮した上で、キャリアコンサルティング面談の対象従業員全体のキャリア意識の傾向や組織的な課題、及びその課題に対する解決の方針や解決策、あるいは従業員育成策に関する提案をします。なお、個別の面談の内容のうち、生命や安全に関する内容は企業側へ伝えるほか、法令違反やハラスメントなどの企業側が組織的に対応すべき内容で本人が同意している内容についても、企業側へ伝えます。こうした報告などを行うことが、セルフ・キャリアドックの信頼性を増し、効果を上げることにつながると考えられます。

人事部門は、キャリアコンサルタントからの報告を受けて、従業員のキャリア意識の傾向、その傾向から見えてくる従業員自身の課題と組織的な課題及びその課題に対する解決の方針や解決策、あるいは従業員育成策に関する提案や報告を経営層にむけてします。また、個別面談のうち、本人の同意を得て報告された内容で、特に組織的な検討及び対応が必要と思われる重要な事案及びその解決策についても検討します。

個々の対象従業員に係るフォローアップについては、
追加的キャリアコンサルティング面談が従業員のキャリア形成支援の必要な場合には追加的に面談を行い、必要があれば、対象従業員の上司に対し、対象従業員の仕事ぶりやモチベーションにどんな変化があったかをヒアリングしたり、本人の同意の下で面談結果をフィードバックし、上司から部下を支援してもらうことも対象従業員のキャリア形成の支援となります。このため、上司に対しては、事前にキャリアコンサルティングの意義・手法を十分に理解してもらう必要があります。
また、セルフ・キャリアドックの結果、対象従業員に精神保健上の問題が認められた場合には、社内の福利厚生担当者や産業医、さらには外部機関(産業保健総合支援センター等)へのリファー(適切な専門家・専門機関への紹介)を検討・実施します。

継続的改善
セルフ・キャリアドックを、毎年よりよい仕組みにしていくために、キャリアコンサルタント、人事部門、関連部門と協働で継続的な改善を行います。

社内キャリアコンサルタント、社外キャリアコンサルタントの活用

セルフ・キャリアドックの導入には、今回、(3)企業内インフラの整備(3キャリアコンサルタントの育成・確保)でもお伝えしたように、国家資格である『キャリアコンサルタント』や、『技能検定キャリアコンサルティング職種(1級・2級)』の有資格者を必要とし、社内の人材に資格取得をさせて独自に進めるケースもできます。しかし、そうすると人事評価の延長線上となってしまい、健全なキャリア形成が阻害されてしまうという懸念も考えられるところです。

「社外コンサルタント」に依頼すれば社員が本音を言え、キャリア形成がスムーズに進こおもありますので、社内・社外人材のそれぞれのメリットを活用し、協同しながら進めることが良いのではないかと考えます。

まとめ

2018年4月にセルフ・キャリアドック制度に対する助成金は廃止されましたが、従業員が「イキイキと仕事をして、生きがいや働きがいを持つために企業が支援できること」がセルフ・キャリアドックです。
この制度を導入することで、「個人の問題」として捉えていたものが「組織の問題」として捉えることができ、組織としてのやるべきことが見え、課題解決につなげていくことができます。まさに『「個」の成長による、「組織」の強化の実現を目指す』ために有効な仕組みだといえるでしょう。

コロナ禍で在宅勤務が増え、オンライン上では部下とのコミュニケーションが十分に取れない、育成について課題があるなどの問題を抱えていらっしゃるマネジメント層の方も多いのではないでしょうか?


COCOKARAでは、
所属カウンセラーがメンタルとキャリアに関する国家資格を所有しており、組織や従業員様を「メンタル」と「キャリア」、そして「産業心理」から支援できることが強みです。

日頃、メンタルヘルス対策として研修や面談で顔を合わせている担当カウンセラーが、セルフキャリアドックでも関わるので、信頼関係の中で効果が発揮されます。

この機会に、「セルフ・キャリアドック」の導入を検討をされませんか?


【参考文献】 :「セルフ・キャリアドッグ」導入の方針と展開(厚生労働省)


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